それにしても、



どこに移動しても九条さんは



注目の的で。




九条さんを見ている女の人が



あちらこちらにいて。




「……九条さん、大学でもモテモテなんですね」




「べつに俺がモテてるわけじゃない。



九条家に興味があるだけだろ」




「う、うわあ!」




「……なんだよ」




「か、かっこいいっ! 私も言ってみたいっ! 



壁によりかかって、ちょっと目を細めて



『私がモテてるわけじゃないわ、



みんな西園寺の家に興味があるだけよ』



とか、言ってみたいっ!」




「……お前、バカにしてる?」




「本気でカッコいいと思ってますよ!」




頬っぺたをふくらませている九条さんは、



ちょっとだけ可愛い。