勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

「だから、九条さんがホントに彩梅と結婚してくれたら、


安心なんですけどね! 



彩梅の大好きな九条さんだったら、いいなって!」




「萌ちゃん!!」




思いきり“大好き”って、言っちゃってるっ!




……なんて、とっくに私の気持ちなんて、



ばれてるんだろうけど。




「それでね、ラクロス部の先輩が、



これからグランドでの練習を見に来ないかって



誘ってくれてるんだけど、彩梅はどうする? 



ここからグランドまで、1時間くらいかかるみたい。



私から誘っておいてホントに申し訳ないんだけど」





「あ、えっと、それなら」





「俺が彩梅のこと送るからいいよ」




……え?




「ホントですか⁈ 



じゃ、彩梅のこと、よろしくお願いします! 



彩梅、今日はありがとね!」




「う、うん、私こそ。



萌ちゃん、連れてきてくれてありがとう。



部活見学、頑張ってね」





「彩梅も、頑張って!」





萌ちゃんが急ぎ足で先輩のもとに戻ると、



九条さんとふたりきりになってしまった。





うん、気まずい。