勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

「……千里、マジか。



お前、ホントに彩梅ちゃんの前だと別人だな。



もうさ、めんどくせーから、



既成事実作ってさっさと結婚しちゃえば? 



じーさんたちも大喜びだろ」




「……キセイジジツ?」




首をかしげると、



九条さんがいきなり小鳥遊さんを蹴飛ばした。




「彩梅に余計なこと言うな!」




「うっわー、キモすぎる。



デレる千里なんて、見てられねえ!」




声高に叫ぶ小鳥遊さんを九条さんが軽くなぐる振りをすると、



小鳥遊さんがぴょんと体をしならせて立ち上がる。




……二人とも、仲がいいんだな。




「じゃ、俺はもう行くね。



彩梅ちゃん、さっきの話、頑張ってね」




「は、はい!」




「はは、顔、赤いよ。可愛いね、お前の嫁」




……よ、嫁!




どんどんエスカレートしてるような!




こ、こんなの赤くならないほうが無理!




「彩梅はなんでそんなに、顔を赤くしてんだよ? 



琉人になにを言われたんだよ?」




九条さんの言葉がいつになく、とげとげしい……