勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

「千里に言われて、



彩梅ちゃんのことガードしてたんだけどな。



つうか、女に過保護な千里とか、引くわ」




すると、栗色の髪を緩くまとめた女の人が、



九条さんを追いかけてやってきた。




九条さんの隣を歩いていた綺麗な女のひとだ。




「ねえ、千里、ゼミの飲み会どうするの?」




ピリッとした高い声と、



私に向けられた冷たい視線に気づいて、



反射的に立ち上がる。




「あ、そ、それじゃ、



友達もそろそろ戻ってくるので行きますね! 



小鳥遊さん、あの、一緒にいてくれて、



ありがとうございました」




ぺこりと頭を下げて、その場を離れようとしたところで、



九条さんの手が肩に置かれてぐぐっと引き寄せられた。




……わわっ!




もたれかかった九条さんの胸に閉じ込められて




目をぱちくりさせる。




「今夜は無理だって言ったよな。



俺はこいつと予定があるんだよ」




ぽふっと九条さんの大きな手が私の頭に置かれて、



九条さんの腕のなか、最速で顔が赤く染まっていく。




か、顔、熱いっ!




……でも、予定ってなんのことだろう?