勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。

「そこまで千里のことが好きなら、



余計なこと考えてないで、



このまま結婚まで持ち込んじゃえばいいじゃん。



高校さえ卒業すりゃ、問題ないんでしょ?」




「けっ……こ、んっ!」




「あは、顔、赤っ」




「だ、だって、いきなり、そんな!」




「一応、婚約を前提につきあってるんでしょ? 



問題ないじゃん。



もし、本当に彩梅ちゃんと一緒にいると



千里がよく笑うんだとしたら、



千里、幸せになれるだろうし。ほら、千里戻ってきたよ」




まっすぐにこっちに向かって走ってくる九条さんに、



小鳥遊さんがひらひらと手を振っている。




走る九条さんもカッコいいなあ。



そよぐ風まで煌めいて見える。




「悪かったな、琉人」




パタパタとかけつけてきた九条さんが、



ふっと目を大きく見開く。




「彩梅から離れろ。近すぎる」




お父さんモード、スイッチオン……