淡い恋心より、怒られることが先に目に浮かぶ関係って、



本当になんなんだろう?




「そんなこと言ってたら、



いつまでも九条さんに会えないよ?」




「そうだよ、そんな暗い顔してるくらいなら、



当たって砕け散りなよ。



砕けた骨は萌が拾ってくれるから」




ぴょこっと現れた花江ちゃんに、



バンっと背中をたたかれた。




「会いたくないの?」




「……とっても、会いたい」




せめて、遠くからでもいいから、



九条さんの姿を見たい。




むしろ、遠くから見ているだけでいい。




「はい、決定! 



せっかく好きな人ができたんだから、



ウジウジしてたらもったいない!」




「それに、うちの大学と違ってK大なんて



校舎も敷地も段違いに広いから、



会えるとは限らないんだし」




「そうそう、



遠くから見かけることができたら、ラッキー! 



みたいな感じじゃない?」




花江ちゃんの後ろから、真希ちゃんも顔をだす。




「そっか」




偶然、ちょっとだけでも会えたらラッキー……




遠くから、



少しだけでも九条さんの姿を見ることができたら、嬉しいな。