「は? まさか」




「千里がそんなにこだわるなんて、気に入ってる証拠じゃん」




「愚痴ってんだよ。見ててハラハラするっていうか」




「くくっ、心配でたまんねえんじゃん」




「もはや保護者目線だよ。



高校生相手に婚約なんてありえねえし。



ただ、もう少し自覚しないと、変な奴につかまったら……」




「半年後には、その子も大学生になるんだろ? 



そこまで心配なら、お前がもらってやればいいじゃん。



じーさん達は乗り気なんだろ正式な婚約者なんだろ? 



で、いちから教育してみたら?」




「冗談やめろよ。家同士が決めた関係なんて、



上手くいくはずがない」




「それなら適当にあしらっておけばいいじゃん。



所詮、高校生だろ。



それとも、マジで気になってんの?」




「まさか」




「で、その子、どんな感じなんだよ。



例えば、だれに似てる?」




目が合えば弾むように笑って、



嬉しそうに駆け寄ってくる彩梅を思い浮かべる。




「……うーん、コタロウ?」




「は? コタロウ? コタロウに似てんの?」




「……なんとなく?」




「あのさ、お前、それ、マジで気に入ってるだろ?」