飼い犬は猛犬でした。


 バイトを終えて裏口をでると、外はもう真っ暗だった。
 後輩ちゃんと別れて自分の家に向かっていると、突然強い力で腕を引かれた。

「きゃ……!」

 見上げると、そこには涼輔くんがいた。
 だけど、少し様子がおかしかった。

「涼輔、くん……?」

 黙りこくっている彼に心配そうに呼びかけるも、返事はない。

 困ったな……心当たりはあるけれど……なんて考えていると、急に抱き寄せられる。

「……先輩にとって俺って……何すか?」
「え……」

 いつもよりワントーン低い声が耳元で聞こえてきて、不覚にも心臓が高鳴る。

 真剣な表情で見つめられ、彼は本気で聞いているんだと知る。

「大切な……彼氏……」

 彼の背中に手を回すと、さらに強く抱きしめられる。
 痛いくらいに抱きしめられ、涼輔くんの速い鼓動が聞こえてきた。