飼い犬は猛犬でした。


「そ、そういや……どーしたんだよそのシミ」
「これは……その……」
「わたしがぶつかった時にこぼしてしまって……クリーニング代、払わせてください……」

 申し訳ないと頭を下げるわたしに、響くんは「大丈夫ですよ」と優しく言ってくれた。


「その代わり……今度2人で食事に行きませんか……?」

「「え……?」」


 涼輔くんとわたしの言葉は見事に重なる。


 それで響くんの気が晴れるなら……という気持ちもあるけど、きっと涼輔くんは嫌な気持ちになると思う。

 それに、万が一なにかの罠だったりしたら……


「2人で、は少し難しいです……。だからそのお友達さんも連れて……はどうでしょうか?」

 これが最大の妥協……
 響くんにアイスティーかけたわたしが提案できる立場じゃないのは分かってるけど……