飼い犬は猛犬でした。



「あの、これで少しはマシになっ、た……と」


 響くんの方へと顔を上げると……


「……ありがとう、ございます……」


 響くんは顔を真っ赤にして俯いていた。
 

 あの響くんが……? 笑顔を崩さず、何を考えているか分からない、あの……響くんが……


 今は笑顔どころか、眉を下げて俯き、真っ赤な顔で口元を手で隠している。


「あ、あの……わたしはこれで……」

 これ以上近付いたらダメだ。そう感じたわたしはすぐにその場を離れようとする。


 けど、響くんはわたしの腕を掴んだ。



「あの……名前、教えてください」
「え……?」
「通いたいので……」

 わたしが知ってる響くんとはかけ離れすぎていて、言葉を失っていると、響くんは申し訳なさそうに「ダメ……ですよね。すみませんでした……」と呟いた。