* * *

 イオと廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。


「あれ、おはようございます。昨日ぶりですね」


 振り返ると、そこには涼輔くんの友達の響くんがいた。

 昨日少し挨拶しただけなのに、よくわたしの事なんて覚えてたね……

「おはよう、昨日はゆっくり話せなくてごめんね」
「いえいえ、でも……先輩とはゆっくり話したいと思っていましたから。こうやって話せて嬉しいですよ」

 響くんはニコッと愛想良く笑う。
 わたしはその言葉の意味が分からずに混乱する。

「そ、それって……」
「涼輔にどうやって取り入ったんですか? 何か脅しとか、ですかね? 興味深いです」



 わたしの耳元に顔を近づけ真顔でそう囁いた後、響くんは再び笑顔でこう言い残した。


「またお会いしたらぜひ聞かせてくださいね」