「あんた、そろそろ調子乗るのやめなよ」
「涼輔クンを独り占めするなんて、いい度胸じゃない」
嫌な予感は当たっていたようで、あの女の子はうちのクラスだけではない、異様な人数の女子に囲まれていた。
さすがにこの人数の中、やめなと割って入る事は出来ない。
そう隠れて見ていると……
パァン!
頬を強く叩く音が聞こえた。
これはさすがに、黙って見なかったことになんて出来ない……
どうしよう……
そう焦っていると、担任がそれを見かけたようで集団の方へ駆け寄って行った。
「何やってるんだお前達! 教室に戻りなさい!!」
悔しそうな表情でそれぞれの教室へとバラバラと散っていく集団を見届けると、わたしはその女の子の元へと駆け寄った。
「大丈夫……じゃないよね。口切れてる……これ、貼って」
絆創膏を手渡すと、女の子は分かりやすく嫌そうな表情を浮かべた。


