「うん……」
もう隠し通せない。そう思ったわたしは、今までの事を全部イオに話した。
「どうして今まで話してくれなかったのよ……」
「ごめんね、メイドカフェでバイトしてるなんて、とてもじゃないけど誰にも言えなくて……」
イオは呆れたようにため息をついた。
「あのさ、逃げたらダメだよ。いいの? 涼輔クンはずっと前から涼香の事が好きだったって言ってるのに、ホイホイ出てきた女に横取りされて」
「横取りって……涼輔くんはわたしの物でもなんでもないんだもん……」
「でも、嫌なんでしょ? 全然平気そうには見えない。いつも涼輔クンに本音を言わせてきたんでしょ? なら、涼香もちゃんと本音で話さないとダメだと思う」
イオの言葉はわたしの胸に突き刺さる。
分かってる、わたしもちゃんと涼輔くんと向き合わなきゃいけない。
涼輔くんの好意に甘えてばかりじゃいけないってことも……
ちゃんとわたしの言葉で涼輔くんに気持ちを伝えよう。
そう決心した矢先、学校中にひとつの噂が流れ始めた。
それは……
『龍ケ崎 涼輔くんに彼女ができた』
というものだった。


