* * *


 せっかく涼輔くんが話しかけてくれたのに……何も返せなかった……
 それどころか、逃げるようなことして……本当に最低だ。

「ちょっと! 涼香!」


 後ろから呼び止められ振り返ると、息を切らしたイオがいた。

 わざわざ追いかけてきてくれたの……?


「保健室行くなんて嘘じゃん、どうしたのよ一体……」

 明らかに保健室とは真逆の中庭で呼び止められ、もう誤魔化すことはできなさそう。

「ごめん……あのね」
「涼香の気になる人って、涼輔クンでしょ……?」


 イオは真剣な表情で問いかけてきた。

 勘の鋭いイオには全部お見通しだった、ってわけか……