だけど…触れられず通り抜けてしまう。


「ごめんね。プリンもう撫でてあげられない。」


私が悲しい顔をしているからなのか、プリンも悲しそうな目で見てくる。


くぅーんとプリンが鳴いたその時、リビングの方から足音が近づいて来た。


「プリンどうしたの〜?そんなら寂しい声出して」


そう言いながらひょこっと顔を出したのはショートカットの目がぱっちりとした女の子。


あ。涼子ちゃんだ。


涼子ちゃんは、康太の妹で今は中学2年生。


相変わらずかわいい。


康太と同じく優しくてモテる。


よく"美春ちゃんとお兄ちゃんは付き合うべき"とか言ってくれたっけ?


ただの幼なじみだからって言ってたけど、嬉しかったなあ。


美春ちゃんはプリンに近づいて撫でる。


もちろん私のことは見えてない。


「プリン、お兄ちゃん帰ってこなくて寂しいんでしょ!大丈夫、もうすぐ帰ってくるよ。」


すると、プリンはワン!と大きな声で返事をした。


「待ってあげよう、きっと美春ちゃんに会いに行ってるんだよ。お兄ちゃん…美春ちゃん死んでから毎日行ってるみたいだから…」


そう言うと涼子ちゃんは悲しそうな目をしてプリンを抱っこしてリビングに戻っていった。


毎日私に会いに行ってる?


まさか、毎日お墓参りしてくれてるってこと?