面会時間が終わりお母さんの病室を後にした私達は暗くなった帰り道を2人で歩く。


「ねぇ。康太」


「ん?なに?」


「お父さん、いい人だった。安心した。」


私がそう言うと康太は私に優しく笑う。


「そりゃそうだろ。お前のお母さんが好きになった人だからいいひとだろ。それに美春のお父さんなんだから悪い人なわけない。」


「お父さんに会えるかな、向こうで…」


私がそう言うと康太は黙り込む。


何も言わない康太の隣で空を見上げる。


暗くなった空に星が輝いている。


お父さん、私はもうすぐそっちに行くよ。


思い残すことがなくなったらそっちに行くから。


その時は会えたことを喜んでくれるかな?


それとも早く来すぎたって怒るかな?


どっちでもいいや。


怒ってもよろこんでも泣いてもいいから名付けてくれた私の名前を呼んで。


"よく頑張って生きたな"って褒めて。


そして思いっきり抱きしめて。


そしたら私もお父さんを抱きしめるから。