「あれって?」


「信じて貰えないと思うんだけど、倒れた時美春が私を呼んでた気がするの。」


え?


私の声が聞こえてたの?


「美春ですか…」


「変よね…あの子はもういないのに。でもほんとに聞こえたのよ、必死にお母さんって呼ぶ声が…」


そう言いながらお母さんは目に涙をためていた。


康太は私を優しい顔で見つめる。


ちゃんと届いてたんだ、私の声。


「美春はいますよ、今もおばさんの近くに。」


「え、ちょっと康太!」


私は慌てて康太の手をつかんもうとするがそれは通り抜ける。


こういう時止めれないのが悔しい。


たとえお母さんでも信じるわけない。


死んだはずの娘が今ここにいるなんて。


見えもしないのに…