懐かしい温もり。


「美春、おばさんは大丈夫だからな。」


私は涙を流しながら頷く。


それからすぐ救急車が来た。


康太がお母さんと一緒に乗ってくれ、近くの病院に運ばれる事となった。


お母さんは呼吸器をつけられ、私の目の前で心電図が規則正しいリズムを刻む。


ピッピッという機械音が不思議と私を落ち着かせる。


それは私にとって嫌な音だった。


私の心臓のタイムリミットのように聞こえたからだ。


だけどこれがリズムをきざんでいるって事はお母さんが生きてるってことだから安心する。


お母さんもこんな気持ちだったのかな…


この機械音が止まらないことを毎日祈っていたのだろう。


お母さんの顔を見ると未だ青白く、本当に生きているのか不安になる。


大丈夫だよね?


また元気に笑ってくれるよね?


病院に着くとお母さんは治療室に運ばれ、康太と私は待合室に行くように指示された。


待合室は長椅子が4つほど並んでいて人はおらず、暗くて静かだった。


康太は1番近くにあった長椅子に座る。