「康太、実行委員なってよかったね。みんなと距離縮めてる康太見て安心したなあ。」


空を見ながら私が言うと康太は急に歩みを止める。


私が不思議に思って下を向く康太を覗き込む。


「康太?どうしたの?」


「美春は俺が笑ってる方がいいんだよな…でもそしたらお前、やり残したことがないって言い出すんだろ?」


「え、それは…」


私は突然の康太の発言に戸惑い言葉がうまく出てこなくなる。


康太の笑顔を見れたら私はもう康太のそばにいなくても大丈夫だと考えるんだと思う。


思い残すことは無いことになる。


つまり、それは私が康太の前から消えることを意味する。


これは悲しくも残酷な現実。


死んでるという私の状態がある故、仕方の無いことなんだ。


「康太、私は今こうして目の前にいるけど本来ならいてはいけない存在なんだよ。私はもう死んでるんだから消えるべきなんだよ。」


「分かってる。でも、それなら俺は…お前にいて欲しいよ。」


ダメだ、どうしてもこうなる。


康太が前に進もうとしても私がいないという事実が康太の足を止める。


もう、どうしたらいいか…


「今はこうして私がいるじゃん。そんないつかの話はしないでおこうよ、体育祭の準備に今は全力かけよ?ね?」