だから、何も理由を言わずに休もうなんて言ったんだ。


康太の優しさだったんだね。


クラスメイト達にもそれが伝わったのかざわざわし始める。


康太は決して器用では無い。


優しいけど言葉が足りない時も多い。


私はそれが心地よかったりするんだけど…


でも、もうここに私はいない。


だから私1人が康太のいいところ知っていたって仕方ないんだ。


知って欲しい、康太はすごい優しいんだって。


誰よりも思いやりを持った人なんだって。


だから、幸せになって欲しいんだ。


私がいなくても…


「さぁ、練習しよう、な?康太さっきからの続きでいいよな?」


大津くんは元気な声でいつも通り明るく言う。


「あぁ、ごめん。俺のせいで雰囲気悪くなって…」


「今更だろ、お前俺に対して雰囲気悪くする気満々じゃん、竹中もだけど。」


「いや、そう言うつもりじゃないけど…」


そう言って康太は言葉につまる。


「お前さ、そんな調子だと東堂が悲しむぞ。」


え?私?


急に私の名前が出てきて驚く。


「え?なんで美春が?」


「お前、前までこんなんじゃなかっただろ。東堂がいなくなってこうなるのも分かるけど東堂悲しいんじゃないか?お前が楽しむことを避けて向き合うことも避けて…」


「関係ないだろ、ほっとけよ。俺は…」


「じゃあお前は東堂がいまのお前をどう思ってるのか分かんないのかよ。きっと辛いぞ。ごめんねって思ってると思うよ。それでもお前は平気か?」