どうしたらいいか分からない感情は私の目から涙として出てくる。



泣いたらダメだと堪えるけどどうしたらいいか気持ちが定まらず、どんどん溢れて出てくる。


病気の時はちゃんと我慢できてたのに…



康太は涙をこぼす私を見て一瞬焦って私の目線に合わせるようにしゃがんだ。


そして、小さくごめんなって呟いた。


私は首を横に振った。



「康太のせいじゃない…私が康太の気持ち考えずに言ったから…謝らないで。」



そう言うと、康太は私の頭を撫でようとして…触れられずに通り抜ける。


その事に戸惑いの顔を隠せない康太。


まぁ、そうなるよね。


それは康太にとって"私が死んだ"ということを強く感じさせるのだから…



「触れられたらいいのに…」


思わず言葉に出してしまう。


「触れられるよ、ほら手出して。」



私が康太の前に手のひらを見せるように手を出す。


それに重ねるように康太は私の手に合わせる。


触れてない、けど…



「不思議だね、暖かい気がする。」



私の言葉に康太は頷く。



「うん、俺も…というか、美春の涙なんか久々に見たな。」


「あー、闘病中は見せないようにしてたから…みんな心配するじゃん。」