その横には私から渡した手紙がはってある。


サッカー部で初めてレギュラーになった時に送った手紙だ。


確かこの時、一緒にお菓子もあげたんだっけ?


初めてマフィンとか作って…渡す時ものすごく緊張したなぁ。


頑張ってね!と励ましの言葉が並んだ手紙を眺めていると、1箇所だけ濡れたであろう場所があった。


なんだろう、これ。


なんか…水滴が落ちたみたいな…


そこではっと気づく。


泣いたんだ、康太。


この手紙で…私のことを思って?


康太は、私以上に私が生きることを望んでいた。



だから、私以上に前に進めてない。



過去で止まっているんだ。



ダメだ、止めたら…何とかしないといけない。



私が…康太を未来へ進ませるんだ。


そのためなら私は、私を忘れてもらっても構わない。


それで康太が本当に笑ってられるなら…


「なに眺めてんの?」


私がじっと手紙を見ていると横からお風呂上がりの康太が立っていた。


「康太…まだこれ持ってたんだね。」


「何が…っておい!勝手にみんなよ!」


顔を赤くして手紙を隠そうとする康太。


「ありがとう、嬉しい。」


「当たり前だろ、お前がせっかく応援してくれた手紙なんだから。」


康太は頭をガシガシとかきながら、下を向く。


知ってるよ、そうする時って康太が照れてる時なんだよね。