「不思議なことって起こるんだな。」


帰り道、康太はそう言った。


「私もびっくりだよ。康太に見えるなんて…」


お母さんも、涼子ちゃんも見えなかったのに何故か康太にだけ私が見える。


謎でしかない。


嬉しいことだけど。


「なんか…変な感じだな。」


「ん?何が?」



「美春が元気そう…」



「死んでるのに?」


私が言うと康太はこくんと頷いた。


康太にとったら、最期の私の姿は弱々しい姿だっただろう。


闘病中はやせ細ってしまった体にたくさんの機械に繋がれた姿だった私。


自分の姿を鏡でみるなんて、最期の方はしてなかったけどきっと見てるのも辛い状態だっただろう。


想像はつく。


そんな中、笑顔で見舞いにきてくれていた康太には感謝でしかない。


「康太は毎日来てくれてたよね。私に会いに。」


「まぁ、な。何も出来なかったけど。」


そう言って康太は遠くを見つめる。


"何も出来なかった"


本当にそう思ってるの?


どれだけあなたの存在に私は支えられたか分からない。


私こそそんなに支えて貰ったのに、力尽きてしまってごめんねだよ。