美春はまた俺の元から離れてしまった。


遠くへ、どんな場所よりも遠い所へ。


"笑って生きて"と言った美春。


あの最期の笑顔を忘れられない。


消える直前の美春の笑顔は今まで見てきたどんな美春の顔より可愛くて綺麗で、最高の笑顔だった。


あれから美春に心配かけないように、美春が望んだ俺になれるように過ごした。


またいつか美春に会えた時に俺が生きてきた日々を話すことが出来るように…


放課後。


生徒たちは帰宅をして校舎は昼間と真逆の静かな風景が広がっている。


教室に忘れ物をした俺は自分のクラスに行く。


教室のドアを開けるとそこには1人の女子生徒がいた。


「あ、先生。どうしたんですか?」


振り返り俺を見てそう言うのは酒井だ。


「酒井帰らないのか?もう下校時間だぞ。」


「帰りますけどもうちょっと…」


そう言って窓の外を見る。


何を見てるのかと思って俺もその視線の先を追う。


そこからはサッカー部の練習風景が見えた。