それは私が聞いてはいけない言葉だと思った。


それを聞いたら私は本当に消えられなくなる。


「康太、私は本当に幸せだった。康太がいて真穂や大津くんがいて決して長くはない人生だったけど幸せだったって胸張って言える。私だってもっとずっとそばにいたかったよ。」


みんなと勉強して、高校を卒業して将来の夢に悩んで仕事して…


一緒に大人になりたかった。


いつか大人になってあの頃は楽しかったねなんて辛かったことも笑い話にしてみたかった。


「でも、それは私には叶わないことだから…私はどう頑張っても康太達と大人になれない。ずっと高校生のままで未来の話は出来ない。ごめんね、康太。」


康太は私の言葉に首を横に振る。


「どうか笑って生きて。私はそれだけを願ってる。康太が本当の笑顔で笑っていられますようにってずっと願ってる。ありがとう、たくさん私のために泣いてくれて。最期に会えて良かった。」


私は康太の頬に右手で触れる。


康太は消えかかっている右手をそのまま包んでくれた。


この康太のぬくもりももう感じれないのか。


寂しいなぁ。