「そうだったね…よく覚えてるねそんな前の事。」


「美春との思い出は全部覚えてるよ、これからもずっと。」


ダメだよ、そんなこと言ったら…


せっかく笑顔でお別れしたいのに…


「康太、今まで本当にありがとうね。」


私は海を見つめたまま康太に話す。


「急にどうしたんだよ。」


「だって、死んだ時はちゃんとお別れ出来なかったから…今回はありがとう言っておきたくて。」


「やめろよ、そんなお別れだなんて…俺は美春とまだずっと一緒にいたいのに…」


そう言って康太は下を向く。


再会した時と同じように康太の足元の砂浜にぽたぽた雫が落ちて色が変わっている。


康太泣かないでよ。