冷たい彼と新婚ごっこ♡

そして迎えた日曜日。


私たち一家は予定通り、一条家との顔合わせのため、近くにある高級ホテルに車で向かっていた。


「お嬢様、今日は一段とお綺麗ですね」


運転手の守屋(もりや)さんがにこやかに声をかけてくる。


「あ、ありがとうございますっ」


私はドレスアップした自分の姿を見つめながら、なんとも言えない不安な気持ちでいっぱいになる。


今回の婚約話、一条くんのお父さんとうちのお父さんで勝手に話を進めてしまったみたいなんだけど、そこで一条くん自身もなぜかOKしてくれたことによって、ほぼ婚約は決定みたいな流れになってしまって。


昔から強引でこれと決めたら必ず実行するタイプのお父さんは、戸惑う私の気持ちなど、全然聞く耳を持たないし。


お母さんも最初は「いくらなんでも急すぎるんじゃない?」なんて心配してくれていたのに、一条くんの写真を見た途端、「こんなイケメンの御曹司、逃したらもったいないわよ!」なんて急に乗り気になってしまった。


大喜びする二人を前にしたら、私も全力で拒否することができなくて。


とりあえず顔合わせだけでも……と思って今日来てみたんだけど、よく考えると一条家と顔を合わせたりなんてしたら、ますます断りにくくなってしまうよね。


まったく、どうしたらいいんだろう……。