その名前を聞いて、ますます開いた口がふさがらなくなる。


ウソでしょ!? 一条くんって……あの一条くん!?


信じられない。あの学校一のイケメンで成績も常に学年トップ、そのうえスポーツ万能で、大企業の御曹司で超がつくお金持ち。


何もかもがパーフェクトで、女子たちみんなが憧れる学校の王子様とか言われてるあの一条くんが、私の婚約者!?


それって何かの間違いじゃなくて!?


「い、いや、待ってよっ! それって、お父さんたちが勝手に決めたんだよね? 一条くんはまさか、そんな話にOKしてないでしょ!?」


私が問いかけると、お父さんは首を横に振る。


「そんなことはない。彼もちゃんとOKしてくれたそうだよ。一条さんの会社とは元から取引があったんだが、最近個人的にも交流があってな。向こうも将来のことを考えて息子さんの婚約相手を早くから探していたそうなんだが、なかなかいい相手が見つからなかったみたいで。そこで梨華のことを紹介したら、一条さん夫婦が大層気に入ってくださったんだよ。一条グループと親族になったら、うちの会社が業界トップになれる日もそう遠くはないだろう」


「えぇっ! ウソでしょっ!?」