ビックリして思わず変な声が出てしまう。


ちょっと待って。急に婚約者って、一体どういうこと!?


確かにお父さんは昔から一人娘の私に対してかなり心配性で過保護なところがあったし、変な虫が付く前に婚約者を見つけて安心したいみたいなことを、たびたび口にしてはいたけれど……。


てっきり口だけだと思ってたのに、まさか、本当に見つけてくるなんて!


「ちょ、ちょっと待ってよお父さん! 婚約者が決まったって、急にそんなこと言われても……。私、知らない人といきなり婚約なんてできないよっ」


そうだよ。いくら親でもそんな勝手なこと……。


するとお父さん、ケロッとした顔で。


「いや、それは大丈夫だ。相手は梨華もよく知ってる人だと思うぞ? ほら、梨華の学校の同級生に一条葉月(いちじょう はづき)くんっているだろう? 彼の親御さんにお前との婚約話を持ち掛けたら、快諾してくれたんだよ」


「えぇ~~~っ!?」