「誄様、どうしてお見合いが成立されないのですか?全て相手のお嬢様からお断りのお返事です」

「しょうがねえじゃん、飯食いに牛丼屋連れてったら、こんなところで食事出来ませんっていきなり怒るんだぜ」

「誄様、お相手のお嬢様は皆様上流階級のお家柄です、高級ホテルのディナーにお連れにならないといけません」

俺はわざと大きくため息をついた。

「無理、そう言うお嬢様は無理」

「かしこまりました、ではまずハウスキーパーを雇い入れます」

「俺が面接するから、いいな」

「かしこまりました」

平野は俺との面接の前に品定めを行っていた。
そして連れて来たのが冬紀みくるだった。

「はじめまして、冬紀みくると申します、上流階級のお宅でのハウスキーパーは初めてなので、不慣れな点が多いと思いますが、よろしくお願いします」

「牛丼食べたことある?」

「はい、あります、チェーン店のってことですよね」

「もちろん、最近アボガドとかチーズとかトッピングあって最高だよな」

彼女は一気に笑顔になった。

「はい、アボガド大好きです、牛丼安いし美味しいし、一般庶民の味方です」

「俺も好き、チーズも最高だぜ」

彼女は不思議そうな表情で俺を見つめた。