まさか次の日みくるが俺の元を去ってしまう事など考えもつかなかった。

仕事から戻ると部屋がロックがかかっていた。

いつも俺の帰宅時間には開けておいてくれるのに、この時違和感を感じた。

部屋に入ると真っ暗になっており、みくるの姿はなかった。

電気をつけるとテーブルに上のメモが目に飛び込んで来た。

『九条誄様、大変お世話になりました、私の料理を美味しいと言って食べてくださり、妊娠の旨を伝えた時も父親になると言って励ましてくださって、とても感謝しています、会社から契約終了を言い渡された時も個人契約して頂いて、また、流産した時も心のケアまで配慮頂き感謝しても足りない位です、一番嬉しかったのはプロポーズです、こんな私に結婚しようと言って頂いて、とても嬉しかったです、誄さんに対する気持ちをずっと抑えていました、好きになっちゃいけないと自分に言い聞かせて、でも海堂さんからプロポーズされた時はっきりわかったんです、私はやっぱり誄さんが大好きです、この先誄さんと生きていけたならどんなに幸せかなって、でも私はあなたには相応しくありません、私が誄さんのお役に立てるとしたら海堂さんと結婚して、誄さんの秘密を公表しないようにして頂くことしか出来ません、誄さん、あなたに巡り会えて幸せでした、冬紀みくる』