「社長はお見合いされた方と結婚されるんですよね」

「えっ?誰がそんな事言ったんだ」

「違うんですか」

「そんな事実はない、俺はみくると結婚したいんだ、前から伝えてあるだろう?」

その時急にみくるがお腹が痛いと言い出した。

痛みは激しさを増していく。

救急車を呼び病院へ向かった。

みくるは流産してしまったのだ。

病室で目を覚ましたみくるに事実を伝えた。

「社長、赤ちゃんは大丈夫でしたか」

「みくる、落ち着いて聞いてくれ、赤ん坊は天に召された」

「そんな・・・」

みくるは泣きじゃくり、冷静さを失っていた。

「みくる!」

「どうして、何で、私を一人にするの」

みくるは涙が止まらず、声を上げて泣いていた。

「俺が側にいるから」

俺はみくるを抱きしめた。

みくるは肩を震わせて泣いていた。

そして俺の背中に腕を回しギュッと抱きしめてくれた。

「みくる、大丈夫だよ、一人じゃないから、ずっと俺が側にいるよ」

俺は子供をあやすようにみくるをそっと抱きしめていた。

みくるが落ち着きを取り戻し始めた。

「みくる、しばらく入院だから、ゆっくりするんだ、これからのことはゆっくり考えればいいんじゃないか」

みくるは俺の言葉に頷いていた。