「お待たせしました」

みくるさんが戻ってきた。

彼女の頬には涙の跡が・・・

僕は彼女が気になって仕方がない。

「さあ、帰ろう」

「はい」

「みくるさん、体調は大丈夫かな」

「大丈夫です」

「来月からよろしく」

「こちらこそよろしくお願いします」

「アパートまで送るよ」

僕はみくるさんをエスコートして車に乗せ、アパートへ向かった。

その夜、九条誄がみくるさんの元へ向かっている事など知る由はなかった。

「みくる、開けてくれ」

「社長、どうなさったのですか」

「今月いっぱいは俺との契約生きてるだろう」

みくるさんは九条誄を招き入れた。

「体調は大丈夫?」

「はい、つわりはだいぶ収まってきました」

「そうか、それはよかった」

「ご飯食べますか」

みくるさんは食事の支度をして九条誄に差し出した。

「来月から海堂慎のマンションで暮らすのか」

「そんな言い方やめてください、お仕事ですから」

「それなら、ここから通えばいいだろ、夜は俺がここに来る、みくるに会うために」

みくるさんははっきり断る事が出来ずにいた。

九条財閥の執事平野さんに九条誄とは会わないでほしいと言われていたが、九条誄に惹かれている気持ちを偽る事は出来なかった。