ある日執事の平野から話があると呼び出された。

「誄様、みくるさんと早くご結婚された方がよろしいんではないでしょうか」

「えっ?」

「みくるさんのお腹には誄様のお子様がいらっしゃるんですよね」

「誰から聞いたんだ」

「先日、産婦人科からお二人で出ていらっしゃるところをお見かけして、先生に問い詰めたところご懐妊とお聞きしました」

「黙っててくれと頼んだのに」

平野は大きなため息をついて俺に説教を始めた。

「誄様、手が早いにも程があります、男女の中は順番がございます、しかも妊娠させたなど何をお考えですか」

「ちげーよ、みくるとはキスもしてない」

「ではみくるさんのお腹の子供の父親はどなたですか」

どうする、なんて言えばいいんだ?

「誄様、誄様のお子様ではないのなら、みくるさんには早々に辞めて頂きます」

「お前、薄情だな、みくるは妊婦なんだぞ、一人で大変だろう」

「そう言う心配はお子様の父親の役目です、誄様には関係ない事と思いますが・・・」

「その父親が責任放棄してるんだから、みくるがかわいそうだろ?」

俺はなんとかみくるを辞めさせる事は避けたかった。

「誄様、みくるさんがまともにお仕事出来る状態ですか、妊婦が無理をして万が一のことがあったらどうなさるおつもりですか」

俺は返す言葉がなかった。