「一人で育てるのは絶対に反対だ、想像以上に大変な事なんだぞ」

「でも・・・」

「俺のこと嫌いか」

みくるは俯いて答えを探していた。
しばらくすると恥ずかしそうに口を開く。

「そんな事ないです、社長の元で働かせて頂いて、生活も見て頂いて感謝しています、一緒に暮らすことも嫌いならお断りしていました、でも結婚となると話は別です」

「俺はみくるの結婚相手には不向きってことか」

俺はシュンとした表情で肩を落とした。

「違います、私が相応しくないんです、社長は上流階級のお方です、上流階級のお嬢様と結婚されるのが妥当と思います、私では生まれも育ちも違い過ぎます」

俺は心の中で生まれも育ちもみくると同じだよと叫んでいた。

でもその事実は言えない。

「みくる、今は話せないが、俺に相応しい女はみくるしかいないんだ」

「社長のおっしゃっている事は理解出来ません」

俺はなんとかみくるを説得したかったが、いきなり結婚はハードルが高すぎたと感じた。

「みくる、それならみくるが無事に出産して子供を育てるための力になりたい、今まで通り俺の側にいて働いて欲しい」

「社長にそこまでして頂く理由はありません」

俺はなんて言えばみくるが納得してくれるか、言葉を探した。