「みくるは、もうそいつに未練ないか?」

みくるは少し考えて「ありません」ときっぱり答えた。

「そうか、サインはしない、俺が子供の父親になる」

みくるは驚いた表情で俺を見つめた。

「社長のおっしゃってる意味がわかりません」

「子供を堕すのは反対だ、本来なら父親の彼と結婚して子供を出産するのがベストだが、親としての自覚がない以上、かえって子供がかわいそうだ
しかし、父親がいない環境で出産は子供が苦労するのは目に見えてる、だから俺がその子の父親になる、俺はみくるを放っておけない」

「同情で父親になるなんて、おかしいです」

「同情じゃない、俺はみくるが好きだ、ずっと一緒にいたい」

みくるは目を丸くして驚いていた。
俺はみくるの手を引き寄せ抱きしめた。

「社長?」

「みくる」

俺はみくるにキスを試みた、しかし、みくるは俺から離れて、キスを拒んだ。

「社長、いけません」

「みくる、みくるの選択肢は二つしかない、俺はサインしないから、俺と結婚して子供を育てるか、第三者にサインして貰うかどちらかだ、一人では育てられないだろう?」

「それなら一人で育てます、社長に迷惑はかけられません」

俺はお袋と重ね合わせ、みくるの子供の父親になると心に決めていた。