「はやくおいで」


優しく微笑んで、手招きをする。

その様子に吸い込まれるように近づくと、おーちゃんがわたしを抱き寄せた。

ベッドに上がれば、布団とともに包み込むように、わたしの体に回される腕。

初めて一緒に寝たあの日から、もうそれが当たり前になったように続いている。


「おやすみなさい」

「ん。おやすみ」


いつになっても慣れなくて、鼓動は強く刻まれたまま。

それを無理に静めるように、わたしもおーちゃんの背中に腕を回して、ぎゅっと力を込めた。

ぴったりとくっついた体のせいで、ドク、ドク、ドク、と聞こえてくる音が、自分のものなのかおーちゃんのものなのか、わからなくなった。

一定のリズムで刻まれるそれが、だんだん心地よく感じられて……、まどろみの中へと、ゆっくり誘われる。


『……いつまで待ったらいいのかなあ』


眠りに着く寸前、わたしの耳の奥で、汐里ちゃんのそんな小さな呟きが聞こえた気がした。