部屋に入るなり、おーちゃんはすぐにソファへと倒れ込んでしまった。

今すぐにでも寝てしまいそうな勢いだ。


「ちょっと、スーツ皺になっちゃうよ」


だらりと脱力している大きな体からなんとか上着とネクタイを剥ぎ取った。
ハンガーにかけながら、呆れたようにおーちゃんを見下ろす。


「お酒弱いくせに、カッコつけて飲みすぎるからだよ」

「べつに、かっこつけてねーし……」

「酔ってるからって、あのキレイなお姉さんにデレデレしちゃってさ」

「……してないもん」


「もん」って……。


わたしは頭を抱えたくなった。

おーちゃんんがここまで酔って帰ってくるのは、珍しいことだった。

家では滅多にお酒を飲まないし、会社のお付き合いでも気をつけているようだった。

時期的に、今日は会社の歓迎会だったのかもしれない。
やっぱり、後輩の前だからって、きっと見栄はって飲みすぎたんだ。


ちょっとだけ、可愛いな、なんて思っちゃったりして……。


普段の余裕のある大人な雰囲気とのギャップに、なんだかウズウズと落ち着かない気持ちになってしまう。