「……おやすみなさい」
「おやすみ」
不貞腐れてお布団に潜り込むと、やがて電気が消された。
カチ、カチ、カチ、カチ……。
時計の針の音が、妙に大きく響いている気がした。
もしかしたら、わたしの心臓が同じリズムで大きな音を刻んでいるからかもしれない。
背中のほうから、おーちゃんが動くたびに、布の擦れる音がする。
……眠れるわけ、ないっ。
「……愛花」
掠れた声で呼びかけられて、わたしはピクリと揺れた。
振り返ると、おーちゃんが寝転がったまま、キレイな手をこちらに差し出していた。
「こっち、来れば」
……こっち?
わたしはぱちりと瞬いた。
ポンポン、とベッドの空いたスペースが叩かれるのを見て、たちまちその意味を理解する。
「……行くっ」


