お風呂から上がりおーちゃんにバトンタッチして、髪を乾かし終わったところで、わたしはキッチンに目を留めた。
食器乾燥機に、おーちゃんが夜ご飯のときに使ったのだろう食器が置いてあった。
『昨日、悪かったな』
『……ひとりで食わせて、ってこと』
前にそう気にしてくれていたことを思い出して、一気に自己嫌悪に襲われた。
……申し訳ないこと、しちゃった。
勝手にいじけて、連絡もしないで迷惑かけて……。
でも……。
わたしはそっと自分の口元に触れた。
その柔らかい部分をふに、と指の腹で押せば、さきほどの熱が鮮明に蘇ってくる。
たちまち踊り出す胸に、衝動に駆られて寝室へ行くと、ぴょんっとベッドにダイブした。
ふわりと香るおーちゃんの匂いに、顔を埋める。
……きっとこれは、すごい進歩だ。
片思い歴、約4年。
とうとう『妹』から、『女の子』に昇進できたんだ。


