「……大丈夫か?」 微かに触れ合ったまま囁かれて、息がくすぐったい。 だいじょばない。 こんなキス、知らない。 こんな……大人な、キス。 わたしは涙ぐんだ目で、ぼんやりとおーちゃんの顔を見上げた。 「……苦い……」 「……」 思わずこぼれた第一声にポカンとしたおーちゃんが、手元のコーヒー缶を見て、苦笑した。