すぐに離れたおーちゃんは、至近距離のまま、探るような視線をわたしに落とした。
わたしは残った温もりを確かめるように、自分の唇をすり合わせる。
触れている時間は短かったけれど、それでもわたしの胸は、いっぱいいっぱいになった。
心臓がこわれそうなほどに暴れて、息苦しくてたまらない。
……自分から触れるのと、おーちゃんから触れられるのとで、こんなに違うなんて……。
前髪の隙間から見えるキレイな瞳に、わたしが映りこんでいる。
それがなんだか嬉しくて、満たされたように息を吐いた。
「おーちゃん……」
震えた声で呼ぶと、頭上でふっと微笑む気配がした。
ベンチについていたおーちゃんの手が、わたしの後頭部にまわされる。
——そしてもう一度、包み込まれるように、唇が重なった。


