勢いあまって、大きな体が傾いてくる。

体を支えようと動いたおーちゃんの手がベンチへと伸びて、まるで、わたしを閉じ込めるような形になった。


「……びっくりした。今度はなんだよ」


焦燥感を含んだ声が降ってくる。


……せっかく、想いを打ち明けたんだ。

考えるって言ってくれたおーちゃんを、信じていないわけじゃないけど、……でも、足りない。


早鐘を打つ自分の胸を奮い立たせるように、わたしはもう一度、しっかりとネクタイを掴み直した。


「わたし、証拠がほしい」

「……証拠?」


今までの関係から……妹から、しっかり抜け出したい。


「おーちゃんが、ちゃんとわたしを女の子として見てくれるっていう、証」


——もっともっと、おーちゃんに近づきたい。