大きな手が頬に添えられ、腫れぼったくなってしまっているわたしのまぶたを、親指がいたわるようになぞる。

ぞくり、と背中のあたりがくすぐったくなった。


「わたしも、おーちゃんのこと、大事だよ」

「ん。知ってる」

「おーちゃんが、好き」

「……うん」

「知ってたの?」


お兄ちゃんに向けるような、家族に向けるような好きとは違うんだよ?

おーちゃんは知ってたのに、気づかないふりしてたの?


驚いてももらえない事実が悲しくて、わたしはすがるような目を向けた。

すると、視界いっぱいに、なにかをこらえるように眉を寄せたおーちゃんの顔が映ったと思ったら、次の瞬間には、ぎゅっと抱きしめられていた。


「知ってたけど……お前をこんな風に追い詰めてるとは、思わなかった。ごめんな」


ふわふわと髪をとくように頭を撫でられて、心地よさに目を閉じる。


「もう、妹なんて言わないから」


あやすように言われて、わたしはおーちゃんの袖をキュッと握った。