「もしかして、誰か待ってるの?」
「……あの」
「それとも、家出少女?」
ポンポン質問を浴びせられて、困惑してしまう。
お兄さんは流れるようにわたしの隣に腰を下ろすと、「ん?」と気遣うように首をかたむけて、わたしの返事を待った。
「……家出じゃ、ないです」
「そうなんだ」
たどたどしく答えたわたしに、お兄さんは穏やかな相槌を打つ。
「高校生だよね。制服着てるし」
「はい」
「大人っぽいね。俺、さっきここを通ったときにキミを見かけて、いいなって思ったんだ。戻ってきたら、まだいたから。つい声かけちゃった」
「……え」
——大人っぽい?
わたしはパッとお兄さんを見つめた。


