ふわふわに巻かれた髪。 甘い香りの香水。 細い指に、綺麗なネイルが施された爪。 華奢なのに、どこか色気を感じさせる大人な雰囲気。 ……なにもかもが、わたしとは違う。 『自分よりずいぶんと大人な人と——』 美月の声が、頭の中で反芻された。 こういうことか。 と、わたしはどこか冷静に納得してしまった。 ——敵わない。 おこちゃまなわたしなんて、この人に、敵いっこない。 おーちゃんのいる世界は、わたしのいる世界より、ずいぶんと広くて、遠くにあるんだ。