「ありがとう、美月。……でも、わたしは話せてすっきりしたよ」
「ほんとに? 無理してない?」
「うん」
心配そうにこちらを見る美月に、力強く頷く。
「……今はね、自分でも不思議なくらい大丈夫なんだ。強くいられるっていうか……きっと、おーちゃんがお姉ちゃんの代わりになろうと頑張ってくれてるからだと思う」
「そっか」
美月が安心したように息を吐いた。
「愛花にとって、おーちゃんはほんとに大切な存在なんだね」
穏やかな笑みを向けられて、わたしは急に照れ臭くなった。
……こうして誰かに想いを打ち明けたのは、初めてだ。
自分の中に大事に閉まっておくことしかできなかった。
友達と好きな人の話になっても、自分の家庭のことをうまく説明できる自信がなくて、なんとなく話せないまま今までを過ごしてきたんだ。


