「そうだったんだ……。ごめん、辛い話させちゃって」


すべて話し終わるまで静かに聞いてくれていた美月は、潤み声でそう言った。

その大きな目には、うっすらと涙が浮かんでいて——。


「ええっ、ちょっと、どうして美月が泣くの」

「だって……」


ぐ、と眉を寄せた美月の瞳から涙がこぼれそうになる。

焦ってテーブルの上の紙ナプキンを掴んだわたしは、それを美月の顔に押し当てた。


「ちょっと。それ、さっき愛花が口拭いたやつ」

「ぎゃっ、間違えた」


急いでホルダーから新しい紙ナプキンをとって、今度こそ美月の目元を拭いてあげる。

美月は気を取り直して口を開いた。


「だって、愛花とは去年も同じクラスだったのにさ、そんなことちっとも……。気づいてあげられなくて、ごめんね」

「美月……」

「そのときに話を聞くくらいには、力になれたはずなのに。悔しい。これは悔し涙なの」


美月はそう言って、わたしの手からナプキンを受け取ると、ちーん、と鼻をかんだ。