「でも、大人な男の人〜って感じで、かっこよかったね」

「う、うん」

「花束なんか持っちゃってさ。王子様みたい」


あれは、お姉ちゃんのお見舞い用なんだけど……。


「それになんていうか……あの人も、愛花のことがすごく大切なんだなって伝わってきたもん」

「……そうなの?」

「わたしの女の勘」


顎に手を当てて、得意げに言う美月。

顔が熱くなってきたわたしは、気を紛らわせるようにストローに口つけた。

頬を冷やすようにパタパタと手であおいでいると、


「けどあの人、……お兄さん、なんだよね?」


核心を突かれて、わたしはピシリと固まった。

答え方を少し迷って、目を泳がせる。


「……えっと、あれはおーちゃんの嘘なの」

「嘘?」

「うん。でも、わたしが妹みたいな存在なのは、本当で……。説明すると少し長くなっちゃうけど、聞いてくれる?」


ソワソワと落ち着かない様子で伺うと、美月はコクリと頷いた。