荷物を持つと、お姉ちゃんに「またくるね」と声をかけて、病室を後にする。

ドアを閉めてから、再び、ふーっと息を吐いた。


……やっぱり、慣れない。


そのまま表札の名前を見つめていると、


「行くぞ」


ふと手を取られる。

そのまま歩き出したおーちゃんに連れられて、わたしは病室に背を向けた。

おーちゃんの少し後ろで手を引かれるようにして足を進めながら、目の前の大きな背中を見つめる。


お姉ちゃんが目覚めないことはとても怖くて、苦しくて……、どうにかなってしまいそうなくらい、辛い。

だけど……。


『ひとりにしたくないんだよ』


——この人がいるから、大丈夫。

おーちゃんがいるから、わたしは大丈夫でいられる。

お姉ちゃんが起きるその日を、信じて待っていられる。